あの頃の私への手紙#12
「俺はサッカーはしない」と
幼稚園児が決めた日
─ あの体験会の冗談が、人生の分岐点だった話 ─
もし、あの一言が なかったら——
ふと、そう思う日が あります。
うちの長男は、いま 高校で 野球を やっています。
でも、あの幼稚園児の頃は、
本当は、サッカーを やるはずだった、んです。
長男が、幼稚園児の頃の話です。
私たちは、当時、マンションに 住んでいました。
そのマンションには、ご近所さんに、
本物の、サッカー選手の方が いらっしゃいました。
それは それは かっこよかったです。
廊下ですれ違うだけで、子供達だけでなく お母さんたちも、
目がハートになっていました。
「うちの子も、ああなって、ほしい」
と、たくさんの母親が 小さく 夢を 見ていました。
私も、そんな一人 でした。
ある日、サッカー選手がサッカーボールを蹴る息子に話しかけてくれました。
「大きくなったら何になりたいの?」
息子は迷わず「サッカー選手!」と答えました。
その方は、微笑んで、こう、言いました。
「毎日、ボールに、触ってる?」
息子は正直に 首を横に傾げました。
「毎日、ボールに触ることが大事だよ!」
その頃の息子は、
「サッカー選手になりたい」と言っていても、
ただ憧れていただけでした。
本気でそうなりたいなら、
何を続けなければならないのか。
初めて息子と私に教えてくれた人でした。
憧れの人からの言葉は強いです。
その日から、息子と 私も ボールを蹴る日が始まりました。笑
ボールは、リビングの真ん中に 転がり、
夜は、布団の横で、長男と一緒に 眠っていました。
長女の 同級生の 男の子たちは、
ほとんどが、地元のサッカーチームに 入っていました。
夕方の公園には、
あっちにも、こっちにも、
サッカーのユニフォームを着た、小さい背中が 走り回っていました。
「うちの子も、サッカー やるんだろうな」
ある日、長男を、サッカーの体験会に 連れて行きました。
公園の 芝生の上。
ちびっこたちが、ちょこちょこと、走り回っていて、
若いコーチも、小さなゴールの前で 楽しそうに ボールを蹴っていました。
息子も 緊張しながら 参加していました。
すると コーチが、冗談で こう、言ったんです。
「ここにボールが入らなかったら、俺の家に、連れて帰るからな」
——子どもたちは、ワー、と、笑いました。
お母さんたちも、笑いました。
でも、うちの幼稚園児だけは、
笑って、いなかった、んです。
真剣な顔で、ボールを、見つめていました。
そして、ゴールには、なかなか入らなかった、、、。
帰り道、信号待ちの、横断歩道で、
長男は、私の手を、ぎゅっと、握って、
ぼそっと、こう、言いました。
俺は、サッカーは、しない。
——え。
「だって、コーチの家に 連れて帰る、って言ってた。」
——あ、あの、冗談、本気に、しとったんかい。
笑っちゃ、いけないと、思いつつ、
私は、心の中で、思いました。
「あぁ、あの、一言か〜」
(コーチ、ごめんなさい。本気にしました。)
幼稚園児の決意は、固かったです。
そこから、サッカーの「サ」の字も、口にしなくなりました。
でも、運動が嫌いなわけじゃ、ない。
体を動かすことが大好きな子 でした。
「やっぱり この子は、スポーツで 伸ばしてあげたいな」
そう思った私は、毎日のように、公園に 通いました。
坂道ダッシュも、自分で タイムを決めて 全力で こなしていました。
「何秒で登れるか測って」
幼稚園児が、さっきよりも速いタイムを目指して
真っ赤な顔で、駆け上がっていく。
——この子は、本当に、体を動かすのが好きなんだなあ。
姉が、喘息気味で、プール教室に通っていたので、
その流れで、長男も。
家の隅の、サッカーボールは、
いつの間にか、少しずつ、空気が抜けて いきました。
小学校に入学し、放課後の運動場には
野球少年がたくさんいて、お友達もできました。
小学校の運動場で練習している少年野球チームがありました。
「体験、行きたい」
本当に軽い気持ちで グラウンドに 連れて行ったら、
あっという間に、入部?!することに、なりました。
そこから、野球の道が、始まっていきます。
腰椎分離症の、数年間も、
ピラティスの、3ヶ月も、
寮のある高校への、進学も、
全部、ここから、続いています。
いまになって、思うのです。
もし、あの体験会で、若いコーチが、
冗談で、「俺の家に、連れて帰るからな」と、
言って、いなかったら——
長男は、たぶん、サッカーを、やっていた。
地元のチームで、お友達と、芝生の上を 走り回って、
腰の怪我もせず、
ザムストのコルセットとも、ストレッチポールとも、
出会わなかった?!
人生の分岐点って、
案外、こういう、コーチの冗談みたいな一言、
だったり、するんですよね。
あの日の、私へ。
息子は、いま、
野球のボールを、毎日、追いかけて います。
笑
——サッカー教室のコーチが言った たった一言で
サッカー少年から、野球少年へ
人生まるごと、変わってしまった 笑
でも、プロのサッカー選手が教えてくれた
「毎日ボールに触ること」
これは守っていますよ。
いろんなご縁が 息子を導いています。
だから人生の分岐点は、
大きな決断の日じゃなくて、
幼稚園児が冗談を本気にした日だったりするんですよね。
ご報告まで。笑
※ このブログは、特定の個人・チーム・指導者を批判する意図はありません。すべて「我が家の場合」の振り返りです。
※ よかったら、また、読みに来てください。


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