誰にも言えない夜を レシピの裏に書き散らしていた頃の話
子どもたちが寝静まった 夜のダイニング。
私はあの頃 一冊のノートを後ろから開いていた。
そして ちゃんと元気になって閉じていた。
野球とは少しだけ離れた話を 書いておきます。
「これ、いつか、倒れるかも」
父が単身赴任で 私は子ども3人をほぼワンオペで育てていた その頃のことです。
長女は中学生で塾と超ハードな部活 長男は新しいチームで野球 次男は幼稚園。
それぞれの送迎 それぞれの予定 それぞれの持ち物。
ちょうど新しい仕事も始めた頃で
ご丁寧に 幼稚園の役員のくじまで引き当てた頃でした。
「これ、いつか、倒れるかも」
そんなことをふと思う日もありました。
でも 私は倒れなかったです。
倒れなかったのは たぶん あのノートがあったから。
開いていたのは、料理のノートでした
たくさん考えすぎて 眠れない。
そんな夜だけ 私はノートを後ろから開いていました。
お気に入りのレシピを書き溜めていた ルーズリーフのファイルノート。
でも 私が夜に開いていたのは レシピの面ではなくて。
そのノートをひっくり返して
——後ろ表紙を表紙にして 後ろから書く。
そこに書き散らしていたのはレシピなんかじゃなくて 誰にも見せられない 私の心の中のぐちゃぐちゃの言葉でした。
字も文章もめちゃくちゃ。
絶対 誰にも見せられない。
書き出しは、いつも同じでした
書き出しはだいたい同じでした。
これまでの私 がんばったねー。
まず 自分で自分の頭をなでてあげる。
過去の自分にちゃんと慰められてから 今回のストレスを書き始める。
そういう順序を 私はいつのまにか決めていました。
書き散らしているうちに 文章はだんだん変わっていきます。
最初はぐちゃぐちゃ。
途中からちょっとずつ 自分に話しかける口調になって。
最後の方には いつもこう書いていました。
これまでこんなことも乗り越えてきたんだから 今回も大丈夫。
私は 自分で自分をなだめる方法を ノートの上で知らないうちに覚えていたのだと思います。
「ダメな母」と書いた夜も、ありました
プライドがズタズタ。ダメな母。口ばっかり。
ダメな部分を子どもに見せてもいいかな。
いいことばかり言うより、母さんもダメだった経験、失敗を話したら、子どものためになるかな。
前半部分に書いているのは 今日あった嫌だったこと。心が疲れた内容。
マイナスの感情でした。
ただ そのあとに 意識して プラスに変えるための問いを続けていました。
ノートに書き散らしていた言葉
無理しない無理しない。できる方法を考える。
ここで頑張ることにしたんよね。思い出した。
人は人、自分は自分。マイナスな空気に引っ張られたら、人生もったいない。
3人も宝物がいるから、他はなんとでもなる。
今日は久しぶりに疲れたね。いつもいっぱい頑張ってるね。
これでダメだったらやめよう。
「これでダメだったらやめよう」は 完璧に頑張らなくていい ということでした。
ダメだったらやめる という逃げ道を自分で握ったうえで もうちょっとだけ踏ん張る。
そういう不器用な自分のなだめ方を 私はしていました。
「『疲れた』、言いすぎだよ」
ここで書いておきたいことが もう一つ。
その頃の私の口癖は「疲れた」でした。
何かをやり遂げた時。
洗い物が終わった時。
やっと椅子に座った時。
口に出していたのは いつも「疲れたぁ」。
ある日
「『疲れた』、言いすぎだよ」
——子どもに 言われたんです。
人の感情は伝染しますからね、、、
ダメね と思いました。
そこから 私は口癖を変えました。
「疲れた」を「よく、がんばったね」に。
最初はぎこちなかったです。
でも 声に出してみると 不思議と自分自身にちゃんと伝わるのです。
そして子どもたちにも 「今日、よく、がんばったね」と自然に言えるようになっていきました。
——あの夜ノートに書いていた「自分の頭をなでる」儀式の 応用編。
よくがんばったね
ノートに書いたあとは、頭の中がスッキリします。
改善できること。考えてもどうしようもないこと。
——いま元気で頑張れている。
または 少し休む。
たったそれだけの結論が ノートに書き散らしているうちに ようやく見えてきました。
そして ちゃんと眠れた気がします。
あの夜の「これまでの私 めっちゃがんばったねー」が いまの子どもたちへの「今日、よく、がんばったね」に
自分で自分を慰めていた力は いま 子どもたちを慰める力になっていました。
あの頃の私へ
あの頃の私に もし いま声をかけられるなら——
あの夜は 本当に苦しかったね。
ダイニングの灯りだけがぽつんとついていて
子どもたちの寝息だけが聞こえる夜。誰にも言えない言葉を書き散らして
字も文章もめちゃくちゃで。それでも ちゃんと自分で自分の頭をなでてあげていたあなたを
私はちゃんと知っているよ。あの夜ノートがあなたの話を聞いてくれていたから
「自分で自分を慰められる人」にしてくれるからね。
「子どもたちにも『よくがんばったね』と言える母」にしてくれるからね。
※ このブログは、特定の個人・チーム・指導者を批判する意図はありません。すべて「我が家の場合」の振り返りです。
※ よかったら、また読みに来てください。


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